内部収益率(IRR)の定義
内部収益率(Internal Rate of Return / IRR)とは、投資額と将来のキャッシュフロー(賃料収入+売却益)の現在価値が一致する利回りをいう。言いかえると、内部収益率(IRR)とは、NPV(Net Present Value / 正味現在価値)が0になるように内生的に決まる料率をいう。
投資全体の総合的な採算性を測る指標で長期投資の評価に使われる。
下記の割引率と似ているが、内部収益率(IRR)は初期投資額とキャッシュフローの関係から求められる料率である。
| 指標 | 初期投資に含めるもの | キャッシュフローに含めるもの | 視点 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| プロジェクトIRR(Project IRR) | 総投資額(エクイティ+借入金)=エンタープライズバリュー | 税引前の事業キャッシュフロー(例:NOI、営業キャッシュフロー) | 事業全体 | レバレッジの影響を受けない。事業そのものの収益性を測る。 |
| エクイティIRR(Equity IRR) | 自己資本(エクイティ)のみ | 税引後キャッシュフロー(利払い後の残り=投資家に帰属する部分) | 投資家(株主) | レバレッジの影響を強く受ける。自己資本投資家にとっての収益性を測る。 |
将来の純収益が予測できるとき、投資額を設定すれば、内部収益率(IRR)を求めることができる。



Excelを使えば一瞬でわかるよ!
| A | B | C | D | E | F | G | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 項目 | 0年目(初期投資額) | 1年目(純収益) | 2年目(純収益) | 3年目(純収益) | 4年目(純収益) | 5年目(純収益+売却価格) |
| 2 | キャッシュフロー(円) | -10,000,000 | 600,000 | 600,000 | 600,000 | 600,000 | 9,600,000 |
上の表(Excel)では、セル B2:G2 にキャッシュフローを入力しているので、この場合、任意のセルに
=IRR(B2:G2)
と入力すると IRR が計算されます。
結果:IRR = 4.2%
割引率(ディスカウントレート)の定義
割引率は、DCF法において、ある将来時点の収益を現在時点の価値に割り戻す際に使用される率であり、還元利回りに含まれる変動予測と予測に伴う不確実性のうち、収益見通しにおいて考慮された連続する複数の期間に発生する純収益や復帰価格の変動予測に係るものを除くものである。【不動産鑑定評価基準】
割引率とは、将来得られるキャッシュフローを現在価値に割り引くために用いる料率をいう。
投資家が求める期待利回りともいえる。DR(Discount Rate)とも呼ばれる。
将来の純収益が予測できるとき、(市場で観察される又は投資家が期待する)割引率を設定すれば、DCF法による収益価格が求められる。
上記のIRRと似ているが、割引率はDCF法による収益価格を求めるときに設定する料率である。
FAQ(よくある質問)
- IRR(内部収益率)と割引率はどう違うのですか?
-
両者とも「料率(%)」で表され、キャッシュフローの現在価値を扱う点は共通していますが、性質が異なります。
割引率(Discount Rate)は「投資家が期待する利回り」を外生的に設定する率であり、DCF法で収益価格を求める際に使用します。
IRR(内部収益率)は、投資額と将来キャッシュフローから内生的に導かれる率で、NPV=0となるように決まります。
つまり、DCF法では「割引率を設定して価格を求める」、IRR法では「価格を設定して利回りを求める」手順です。 - プロジェクトIRRとエクイティIRRの違いは?
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プロジェクトIRR(Project IRR)は事業全体の収益性を示す指標で、総投資額(自己資本+借入金)を基礎に税引前の事業キャッシュフローを用います。レバレッジの影響を受けません。
一方、エクイティIRR(Equity IRR)は自己資本の収益性を示すもので、税引後キャッシュフローを用い、レバレッジの影響を強く受けます。
不動産鑑定評価では、一般的ににプロジェクトIRRを用います。 - IRRはどのようなときに使うべきですか?
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IRRは投資案件の採算性や資本コストとの比較に用います。複数の投資案件を比較する際、IRRが投資家の要求利回り(割引率)を上回れば、その投資は検討の価値ありと判断されます。
- IRRがマイナスになるのはどんなときですか?
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投資額に対して将来のキャッシュフローの現在価値が小さい場合(回収できない場合)です。つまり投資全体で損失が出る想定であり、そのときNPVも負になります。

