日経平均とJ-REITの連動性
2025年9月16日、日経平均株価は史上初の45,000円を突破して終値は44,902円となりました。同日、東証REIT指数は1,950.97で取引を終えました。株式市場が高値を更新するなか、J-REIT市場は今後どう動くのでしょうか。
私は不動産鑑定士なので、指数の動きよりも、J-REITの裏付けとなる不動産の「価格形成要因」に注目し、REITの将来を想像してみたいと思います。


鑑定はかせ東証REIT指数は2020年にコロナショックが直撃したから、まだまだコロナ前の水準までは遠いのー
投資用不動産の価格構成
不動産価格(収益価格)は、次の式で整理されます。
収益価格 = 純収益 ÷ 還元利回り
さらに分解すると
- 純収益=運営収益-運営費用(資本的支出含む)
- 還元利回り=期待利回り×自己資本比率 + 調達金利×他人資本比率
- 調達金利=国債金利+リスクプレミアム
この枠組みを前提に、現在の市場環境を整理すると次のようになります。



まずは、『価格=純収益÷還元利回り』これを暗記しておくと、どこをいじれば不動産の価値が上がるのか(下がるのか)がわかるぞい
現在の動向
2025年9月現在、証券化不動産市場では、概ね次のような状況となっているのではないでしょうか。
- 運営費用の上昇(価格を押し下げる要因)
運営費用を構成するアセットマネジメント費用(AMフィー)、賃貸管理費(PMフィー)、維持管理費(BMフィー)、保険料、固定資産税などが上昇しており、純収益を圧迫。価格下落圧力となります。 - 還元利回りの下げ止まり(下落圧力の強まり)
金利上昇や投資家の期待利回りの上昇により、今後の還元利回りは上昇に転じる可能性があります。
還元利回りが上がれば価格は下がる方向に働きます。 - 運営収入の上昇(価格を押し上げる要因)
都心マンションでは、空室リフォーム後に新規賃料を大幅に引き上げて募集する動きが顕著です。
更新時の賃料改定も進み、運営収入は増加傾向にあります。
特に、コロナ禍でも業績が堅調だったスーパーなど商業施設では賃料上昇が顕著で、オーナーに有利な状況です。
これらを総合すると、費用や利回りの上昇による下落圧力を賃料上昇が凌駕し、価格を押し上げる局面が訪れそうです。
J-REITは上昇するの?
不動産鑑定士の間でよく知られる概念に「賃料の遅効性」があります。
これは、不動産価格の変動に遅れて賃料が変動するという現象を指します。素直に考えれば将来の賃料上昇期待を反映して価格が先に上昇するということです。
しかし今の現状をみていると、今後賃料が上昇すれば、さらに価格を押し上げるでしょう。
J-REITというのは、保有中の資産価値を鑑定評価で把握しています。実際の取引価格ではなく収益価格を標準とした評価額でウォッチしているのです。
収益価格というのは、マーケットが過熱したときにこれをセーブする役割があることが、不動産鑑定評価基準に書かれています。


今まさに不動産投資マーケットでは証券化対象不動産が先走りがちな取引価格となっていて、これを鑑定評価額がセーブしている状況になりつつあると思います。
「賃料の遅効性」の考え方をREIT市場に応用すれば、株式市場(日経平均やTOPIX)や実際の不動産取引市場の変動(上昇)に遅れて、東証REIT指数が動いているように見えます。
そう考えると、REIT指数の上昇余地はまだ大きいのかもしれませんね。



都心の物件がいいのか、地方の物件がいいのか、レジデンスがいいのか、ショッピングセンターがいいのかなど、銘柄によって個性があるので、これらの値動きに違いが出るのも面白いのぉ



私は北海道や長野県など、夏も涼しくて景色が綺麗な地域が大好きだよ
新しい投資手法とREITの今後
J-REITは上場市場を通じて分散投資・流動性が確保できます。また、最近では不動産クラウドファンディングや不動産デジタル証券(不動産ST)のように「特定の不動産にピンポイントで投資」できる仕組みも広がっています。これらを組み合わせることで、投資家はより多様な戦略を描けるでしょう。
賃料の改定が見込める商業系不動産が熱いと思います。
これについては、改めて別の記事で特集する予定です。
結論
✅ 株式市場と連動性を持ちつつも、不動産の価格形成要因に基づく動きをするのが J-REIT市場 です。分散投資が最大のメリットですが、コロナショック時には市場規模の小ささゆえの流動性リスクも露見しました。
✅ REIT指数は、コロナショックの傷がまだ癒えていません。
✅ 賃料上昇が価格を押し上げる局面に入りつつある今、J-REIT投資の妙味はむしろ高まっていると思います。



月に一度、REIT指数を観察するだけでも勉強になるよ
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やまと


